作品情報
記憶と言語を失い、世界から忘れられた孤独な男。チャロ。
世界の現実に翻弄されながらも、真っ直ぐ生きていたいと思う女。美華。
STORY
夜は牛乳配達、昼は大学の清掃員で働くチャロ(卯ノ原圭吾)。5年前の事故で記憶と言葉を無くし、
今は浮浪者のたつお(米元信太郎)とともに平和に静かに生きている。
山の手の住宅地にある大学へ通う美華(東宮綾音)。富裕層の友達に囲まれ、キラキラな大学生活を送っているように見えるが、
実は学校の友達には内緒の実生活が。夜は借金のためスナックでバイトし、姉のようにしたう童話作家のエル(芽衣子)の家に入り浸る生活。
普段から、大学の友達の価値観と自分の価値観の差に戸惑う美華をエルは「住む世界が違う」と諭す。
ある深夜、スナックの閉店後に帰路に着く美華の元へ闇金が返済に迫ってくる。その一部始終を、牛乳配達のチャロが目撃する。二人が出会う。
言葉も通じないチャロと美華。チャロの一生懸命何かを伝えようとする姿に好感を持っていく美華。
そして、ある事件をきっかけに二人は急接近する。チャロと美華の平和な時間が
流れるかに見えたのも束の間、ある人物の登場で、エル、たつお、学校の友達をも巻き込んで話は一気に展開していく…。
「それでも 世界は美しいー」
北九州の抒情的な風景のなか展開する現代の寓話。
注目の実力派若手俳優の二人 卯ノ原圭吾 × 東宮綾音
格差や偏見、差別に溢れた世界を生きる二人の出会い。やがてお互いに想いを寄せ合い、
世界はそれを一度は受け入れてくれたはずだった…。チャロの過去の影が見え隠れするまでは…。
無関心からくる偏見、スクールカーストや貧富の格差、職業差別などに溢れた世界で、人を想い、人に寄り添おうとする
二人の世界を描いた人間ドラマ。
主演は、卯ノ原圭吾と東宮綾音。卯ノ原圭吾は数々のドラマに出演し着実に実績を積みながら、22年23年と立て続けにメインでの出演作が公開。
「3653の旅」野本梢監督、「HAKUSHI PROJECT」(「You」野本梢監督 「再演」土屋哲彦監督「いろとりどりの」加藤大志監督) 、
「ボクらのホームパーティ」川野邊修一監督と言った話題の作品が立て続けに公開され、毎月スクリーンに登場する俳優に。
今作では、事故で脳に障害を持ち、独自の言語を話すという難しい役に挑戦。どこか可愛げがあって子供っぽさを残すチャロを見事に演じ切っている。
なお、今作の演技が認められ、海外の複数の映画祭では主演男優賞にも輝いている。
東宮綾音は、監督たってのオファーで出演が決定。本格的に俳優を始めてまだ浅いにもかかわらず、今年に入って数々のドラマに出演している若手実力派俳優。
理想と現実の狭間で揺れるさなかにチャロと出会い、戸惑いながらもチャロのひたむきな姿に引かれていく美華を新鮮に演じている。
監督 末吉ノブ× 主題歌LiSA「BEAUTIFUL WORLD」
数々のMV(LiSA、西野カナ、PENGUIN RESEARCHなど)や音楽映像、CMなどを手がけてきた
末吉ノブ監督による劇場公開長編デビュー作。2020年のコロナ禍により仕事としての映像表現ができなくなった時に、
自分で作品を残そう。と思い映画制作を始める。処女作であるオンライン公開作品「スタジオ グレア」が2021年に公開。その後すぐに本作に取り掛かる。
監督が観て育ってきた80年代90年代の洋画へのオマージュをふんだんに盛り込み、
監督自身が普段から信念にしているという、「人を想う」ことをテーマに執筆開始。
監督の完全個人でのインディーズ制作で2022年2月に撮影。
完成後、国内外の映画祭に出品。主にインドやアメリカ、イタリアの映画祭で様々な賞を受賞(20カ所48部門受賞)。
とりわけ、イタリアで1940年代から続く歴史ある映画祭のサレルノ国際映画祭の長編コンペティション部門に選出されるという快挙も。
主題歌には、監督が「チャロを書いた時点ですぐにこの曲の歌詞が頭に浮かんだ」というLiSAの「BEAUTIFUL WORLD」(2020年発売 album”LEO-NiNE”収録)。
前向きなLiSAの「僕は僕の世界を生きてく」という言葉がまさにチャロと美華の決意を表している。