制作にあたって

監督・脚本・プロデューサー・照明・編集
末吉ノブ



「チャロの囀り」について

2020年、コロナ禍は僕たちの価値観を見事なまでに変えてしまいました。

でもそれは悪い意味ではなく、というよりも良い意味でと考えるしかないのですが... 

それまで映像を通していつも何かを表現し、それを生業にしてきましたが、それができなくなった2020年。発注がきて作る映像ではなく、自分から発信する映像表現をしないと自分がこの世界に生きてきた意味がなくなるんじゃないかと、2020年のその時に思いました。そこからSNSで繋がった無数の出会いがありました。監督、カメラマンなどのクリエーター 、俳優やモデル、ダンサーなど出る側の方達。たくさんの人と出会いました。彼らもまた、コロナ禍で表現に飢えていた人たちでした。そしてその人たちの考え方、価値観、世界などに触れ、僕自身も大いに刺激をいただきました。それまでももちろん、映像制作という仕事でいろんな方との出会いがあり、自分の世界はどんどんと広がっていきましたが、この2020以降の出会いは、さらに僕の世界を広げてくれました。




人と出会うということ

オンライン上映した前作の長編「スタジオグレア」でも描きましたが、この「チャロの囀り」でも同じで、僕は人と人が出会うということを描きたいと思っています。人と出会い、話し、お互いを知ろうとすることで自分の知らない世界や価値観を見つけることができます。逆にそれを遮ってしまうと何も始まりませんし、自分の価値観も変わりません。もちろん劇中でもエルやたつおが言っていますが、「世界が違う」のは仕方がないことだと思います。「それが現実だ」ということも現実です。ただ、昨今の世相やSNSでは「人との関わり」が冷え切りすぎてる気がします。他人の違った価値観を知ろうともせず否定したり、自分の価値観を押し付けたりな流れがあるのが、それが現実とはいえ何か違うと思ってしまいます。もちろん「話せばわかる」は理想論だとも思います。が、黙ってても伝わらない。し、とにかくお互いのこと知るならまず話しませんか?

だと思ってます。前提としてそうでありたいなと僕は思います。

劇中で芽衣子演じるエルというキャラクターが、

「人と出会って、そこから新しい世界が広がるのがダメなことなんかじゃない。美華は、チャロと出会って世界が広がったんでしょ? きっとチャロもそうだよ。そうやって自分の世界を作 っていくんじゃない?そうやって生きていくんじゃない…。」と言っていますが、このセリフに僕の言いたいことが集約されております。内容は当たり前のことかもしれませんが、今のこの世界、それが薄れているような気がするんです。でも、現実はそんなに甘くないのも事実です。そんな 世界で人は、成長していくんだと…。

だから余計に、この世界は本当に美しいなと思ってしまいます。



生きているといろんなことが起こりますが、そうやって自分の世界を広げていって、「僕は僕の世界で生きていく。」んだと。

エンディングで流れるLiSAの「BEAUTIFUL WORLD」という楽曲の歌詞が作品の最後に全てを語ってくれています。


僕自身、劇場公開として初の作品で、拙い部分は多々あるとは思いますが、これからもそういう作品を残していきたいなと思っています。

「チャロの囀り」

ぜひよろしくお願いします。 



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